うつは長く続く抑うつ的な気分、日常の活動に対する興味や喜びの喪失を特徴とします。さらに、睡眠の問題(過眠、不眠)、体重の変化、思考力や集中力、決断力の低下、罪悪感や自分には価値がないといった気持ちなども生じることがあります。子どもや若い方はいらだちや様々な身体症状としても表現されやすいと言われています。
うつになる状況は人により様々です。家族やパートナーとの関係でうまくいかないとき、職場や学校でハラスメント・いじめなどの経験をしたとき、挫折や失敗で自分自身に落胆してしまうとき、身近で大切な人を喪失した時、結婚・出産・昇進など嬉しいことではありながらも同時に大きなプレッシャーや変化が生じるときなど。女性も男性も、子どもから大人まで様々な方がうつになることがあります。
うつの時の自分自身に対する体験も様々です。高い要求や期待がある環境で「頑張らないと自分には価値がない」と感じ、強い焦燥感の中追い込みやすい方もいらっしゃいます。「愛されたいけど愛されない」「人に近づきたいけどそれもこわい」と感じ、多くの時間孤独感に悩まされている方もいるように思います。病気や災害などで大切な方を喪失し今でもそれが整理できない方は、心細さや「自分一人では生きていけない」という弱さを感じる方もいらっしゃるかもしません。
うつの方の感情的な特徴としては、過去の体験を整理できずとらわれている感覚があったり、感情を強く抑え込んでいたり、なかなか解消しないつらい感情に留まり続けてしまうなどがよく見られます。
カウンセリングでは現在の困難な問題(例えば、うつで仕事や学業に取り組めない)について話すことが大切ですが、それだけでなく、感情の扱い方についても見つめ直すことも役立ちます。対人関係で衝突を避けるために自分の気持ちを抑え込む対処をずっと取ってきた方は、安全な形で怒りを表現できたり自己主張をできるようになることで負担が減るかもしれません。向き合えてこなかった過去の失敗体験や大きな喪失についてじっくりと扱い、カウンセラーと一緒に「十分向き合った」と思えることも自分の人生を一歩前に進める力になります。
怒りに関する記事で記載したように、うつ症状がある方のカウンセリングで「表現することができなかった怒り」がテーマになることもあります。残念ながら教育現場や職場、地域、家庭など様々なところでハラスメントが生じています。ハラスメントする側に自覚がない場合もありますし、「恥をかかせる」「孤立させる」ということを意図して、攻撃やいじめをするような環境があることも聞くことがあります。普段生活をしている中で理不尽な攻撃を受けた時、多くの人は驚き戸惑い、フリーズするような形となり、瞬時に適切に対処することは難しいのではないかと思います。しかし、思い返してみると明らかに言われる筋合いのない言動をされ後から腹が立ってくる、そんな時はこの正当な怒りをしっかりと感じカウンセリングの中で表現できると、「自分が悪いのではない」と自信を持って自分を肯定しやすくなります。
一言にうつと言っても、人によりその体験は様々で、その中には怒りや傷つき、罪悪感や孤独感、人からの愛情を求める気持ちなど複雑に成り立っています。うつの再発を防ぐためにも、この複雑でそれぞれ大切な感情を見つめ、そしてその中でご自身の感情処理のスタイルについて気づいていくことが役に立ちます。